近年、大型車の車輪脱落事故が増加傾向にあることを踏まえ、さらなる事故防止対策を進めるため令和4年2月に設置した「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」において、各種調査や実証実験の結果を踏まえて検討を行い、今後の車輪脱落事故防止対策のあり方について「中間取りまとめ」がとりまとめられましたのでお知らせいたします。
車輪脱落事故車両調査、タイヤ脱着作業等の実態調査・分析結果 ■ 事故車両において、劣化したナットが使用されていたり、ナットの点検・清掃、潤滑剤の塗布等が適切に行われていなかった。 ■ 規定トルクでナットの締め付けを行っておらず、増し締めも行っていなかった。 ■ 日常点検において、ナットの緩みの有無を確認していなかった。 ■ 整備管理者による指導・管理が不十分であった。 |
実証実験により明らかになった事項 ■ ボルト、ナットは適切に潤滑剤の塗布を行わない場合、締め付けを繰り返すたびに、締め付け力(軸力)が徐々に低下する。 ■ 最大積載の大型貨物自動車の左右の駆動輪をメーカーの規定トルクよりも低いトルクで締め付け、悪路条件等を模擬したテストコースをサイクル走行させた結果、軸力が一定の水準より小さい場合に走行に伴い急速に軸力が低下し、0になることが確認された。 |
上記の調査・分析・検証結果を受け、検討会では次の提言をおこなっています。
〇速やかに実施すべき対策
・大型車使用者に劣化部品の適切な交換を促す緊急点検の実施
・タイヤ脱着作業者が適切な作業手順・保守管理手順を確認するための動画公開
・車輪脱落事故防止キャンペーンの継続的実施 等
〇中・長期的に実施すべき抜本対策
・車輪脱落事故惹起事業者等の整備管理者に対する特別研修の新設
・一定期間に複数回の車輪脱落事故を惹起した事業者等の整備管理者に対する、解任命令の発令
・タイヤ脱着作業者の人為的な作業ミスを防ぐための車両対策 等
国土交通省では、関係団体と協力して、この「中間取りまとめ」において提言された車輪脱落事故防止対策を推進していくこととしています。