5月8日(木)、14日(水)、15日(木)に県内3か所で開催された「物流改正法に関する説明会」での質問への回答をまとめました。ご参考としてください。
Q1.「作成した実運送体制管理簿は1年間保存する」とあるが、保存は管理簿作成主体である元請事業者が保存するのか、真荷主(荷主や利用運送事業者)にも保存義務があるのか。
A1.管理簿の作成主体である元請事業者が保存を行うこととなっている。
Q2.契約書等随時やり取りをすると思うが、FAXで来た場合紙での保存でなければならないのか。
A2.契約内容等が後から見た時に、正確にわかるように保存しなければならないので、メールやPDFでの保存でも構わない。
Q3.有料道路代込みの運賃をもらっている場合、記載しなければならないか。
A3.有料道路を利用した場合は、記載しなければならない。
Q4.1台のトラックに10軒分の荷主の荷物を積んでいる場合、正規の高速料金を入力すると10倍の高速料金になってしまうので、10分の1の高速料金を記載すればよいのか。
A4.貨物自動車運送事業法第12条、第24条の書面交付において、複数の荷主の荷物を混載した場合、高速料金代については、それぞれの荷主がいくら負担するのかを整理の上、実際に収受する額を書面に記載する必要がある。
Q5.集荷する車、走る車、下ろす等実運送3台で行う場合、同じ業者でもそれぞれの車番を実運送体制管理簿へ記載しなければならないのか。
A5.同じ業者が集荷から荷下ろしまで行う場合はその事業者名等の法定記載事項を記載すればよく、それぞれの車番の記載は不要。(法定記載事項:実運送事業者の商号又は名称、貨物の内容及び区間、請負階層)
Q6.「健全化措置を講ずることを努力義務化」とありますが、努力の意味が曖昧で意味がわからないが、どこまで努力すれば良いですか。
A6.自社で可能な限り、委託先事業者とコミュニケーションを取りながら協議して、その内容を日々の運送に活かして欲しい。
Q7.健全化措置関係・努力義務について、元請事業者が下請事業者に仕事を依頼する段階ではあくまで概算であるため、概算額を下回る場合は、元請事業者は「荷主に対して価格交渉をしたい旨を申し出る」とあるが、値上げ交渉をする場合、荷主の理解を得ることは難しいのではないか。
A7.下請事業者は元請事業者に対して、実運送として利益を確保できる運賃・料金を伝え、元請事業者はその旨を荷主に対して確実に伝え、理解を得た上で交渉していただくようお願いしたい。
Q8.再委託を行う場合に関して、実運送体制管理簿の作成主体(P.10)を見ると、4段階までは可能のように見受けられる。貨物利用運送事業者であれば何段階でも委託することができるのか?
A8.今回の改正は、再々委託を禁止する内容となっているため、1段階目の委託までは再委託可能だが、2段階目以降は再々委託となるため、努力義務での制限としている。
Q9.書面交付関係(P3)に交付した書面については、その写しを1年間保存すること、実運送体制管理簿関係(P.9)に作成した実運送体制管理簿は1年間保存することとあるが、保存媒体は電子データでよいか。
A9.紙でもPDFでもメールの履歴でも確認できれば、保存方法は問わない。
Q10.書面等の保存期間1年間とはいつからか。また保存方法は写しで良いとはなぜか。
A10.法第12条、第24条による書面交付については、書面を交付した日から保存が必要。ただし、運送契約締結時に未定事項があり、当初書面(※1)を交付した後に、後日書面(※2)を交付した場合は、後日書面の交付をもって書面交付義務が完全に履行されたものと考えられ、当初書面も含めて、後日書面を交付した日から1年間保存する必要がある。また、実運送体制体制管理簿においては、貨物の運送が完了した日から1年間保存しなければならない。
また、保存方法については、書面交付を行った場合は原本については相手方に交付されるため写しの保存で良い。なお、法定事項が網羅された書面交付を契約書として交わす場合には、役務契約書等の原本については、会社法等で定める保存期間に従う必要があります。
(※1 当初書面:運送契約締結時に未定の事項がある場合に、未定事項以外について記載した書面)
(※2 後日書面:未定事項について後日内容が決定した時点で別途交付した書面)
Q11.実運送体制管理簿の記録は1.5t以上の重量とありますが、1回の依頼が1.5tか、方面別で1.5tなければ必要ないか。例えば仙台1t、東京1tの場合はどうか。
A11.配達先(荷受人)が複数あったとしても、当該運送が一の運送契約に基づき行われる場合には、一度の運送依頼で引き受ける貨物の重量で判断することとなります。なお、配達先(荷受人)ごとにそれぞれ別々の運送契約に基づいて運送が行われる場合には、各運送契約ごとの貨物の重量で判断することとなります。
Q12.荷主や運送事業者に罰則規定はありますか。
A12.
【書面交付義務】
罰則はありませんが、貨物自動車運送事業者についてはトラック法第 33 条に基 づく行政処分の対象となる可能性があります。また、荷主についてもトラック・ 物流Gメンによる是正指導の対象となる可能性があります。
【健全化措置の努力義務】
元請事業者等の主体的な取組を促すためのものであるため、罰則や行政処分は設けておりません。他方で、運賃・料金を不当に据え置くなど、違反原因行為をしている疑いがあると認められる事業者については、トラック・物流Gメンによる是正指導の対象となります。
【運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任義務】
行政処分の対象となる可能性があります。また、「運送利用管理規程の届出をしないで、又は届け出た運送利用管理規程によらないで、事業を行ったとき」又は「運送利用管理者の届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき」は、百万円以下の罰金が科されることになります。
【実運送体制管理簿の作成・保存義務、 通知義務】
罰則はありませんが、トラック法第 33 条に基づく行政処分の対象となる可能性があります。
【物流効率化法】
荷主、物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課しておりますが、そのことに対しての罰則規定はございません。しかしながら、必要な場合には所管省庁が指導・助言をすることとなりますので、各々必要な取組を行っていただく必要がございます。
なお、特定事業者としての指定基準を満たしていながらも届出を行わなかった場合、中長期計画の提出や定期報告を行わなかった場合は、物資の流通の効率化に関する法律第76条の規定により五十万円以下の罰金が科されます。