貨物自動車運送事業を新規に開始するときはもちろん、事業所(営業所)の移転や車両数の変更、車庫、休憩施設、役員の変更などを行った場合にはその事業計画について運輸局に届出する事になっています。
運行管理規程
事業者は、運行管理者または統括運行管理者が的確かつ円滑に事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行うために、運行管理者の職務や権限、統括運行管理者に係る組織、職務及び選任方法等並びに事業用自動車の運行の安全に関する業務の処理基準等を定めた運行管理規程を作成しなければなりません。 また、運行管理規程は少なくとも運行管理者及び統括運行管理者がその業務を行うに足りる権限を規定し、さらに自社の実態を十分考慮して実施すべき業務等をあらたに加え、運行管理の実施に支障が生じないものにしなければなりません。 |
◆ 運行管理規程の制定と内容 | |
運行管理者の業務は、輸送安全規則第 20 条(運行管理者の業務)で規定されていますが、輸送安全規則第 21 条(運行管理規程)では、運行管理業務が適切に処理されるよう、運行管理者の職務及び権限と統括運行管理者を選任しなければならない営業所にあってはその職務及び権限並びに運行の安全の確保に関する業務の処理基準を付与した「運行管理規程」を社内規程として制定するよう義務付けています。 事業者は、運行管理業務の基本である「運行管理規程」に、法で定められた「運行管理者の業務」を妨げない範囲で、より高度な職務を定めることができます。その場合は、「運行管理規程」に内容を明記しておかなければなりません。 |
◆ 統括運行管理者を選任する場合 | |
運行管理者を同一の営業所で 2 名以上選任する場合は、運行管理者の業務全般を統括する統括運行管理者に係る職務及び権限に関する事項を「運行管理規程」の中に定めなければなりません。さらに事業者は、「運行管理規程」を理解させるため、必要によっては個別に指導しなければなりません。 |
◆ 運行管理補助者を選任する場合 | |
一人の運行管理者では、24 時間の勤務は不可能であるため、営業所内で運行管理者の業務を補助させる「補助者」をあらかじめ選任し、運行管理者の指揮監督の下、運行管理が完全に実施されるよう万全を期す必要があります。なお、「補助者」は、下記の条件のいずれかを満たした者の中から選任しなければなりません。 ① 運行管理者資格者証を有する者 ② 国土交通大臣が告示で定める運行の管理に関する講習であって、国土交通大臣の認定を受けた講習機関で講習を修了した者 補助者の選任に当たっては、その選任方法及び職務並びに遵守事項等について「運行管理規程」に明確に規定しなければなりません。 |
◆ 標準的な運行管理規程の入手方法 | |
会 員 青森県トラック協会所属支部へお問い合わせ下さい。 非会員 株式会社輸送文研社(電話03-3861-0291)へお問い合わせ下さい。 |
運行管理者制度について
事業者にとって経営上最も重要な事項は、輸送の安全確保です。
そのために、事業者は、運行の安全確保を適切かつ効果的に行うため、各営業所に運行管理の専門家を配置し、業務の遂行に必要な権限を与えて専門的に従事するという運行管理者制度を設けています。
◆ 運行管理者の資格要件 運輸局長が発行する「運行管理者資格者証」の交付を受けている者でなければなりません。 |
◆ 運行管理者になるには | |
次の2つのいずれかの要件を満たしたうえで、運輸支局へ運行管理者資格者証交付申請書を提出し、運行管理者資格者証の交付を受けて下さい。 | |
(1) | 運行管理者試験に合格した者。(試験に合格後3ヶ月以内に交付申請書を提出しなければなりません。) |
(2) | 事業用自動車の運行管理に関し 5 年以上の実務経験(運行管理補助者)を有し、かつ、その間に運行管理者基礎講習及び一般講習を 5 回以上受講した者。(5回のうち少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。) |
◆ 運行管理者の選任数 | |
下記の表のとおり、全ての営業所に運行管理者を1名以上選任することが義務付けられています。 |
◆ 運行管理者の選任(解任)の届出 | |
運行管理者を選任又は解任したとき(当該営業所の運行管理者でなくなったとき)は、届出事由の発生後1週間以内に営業所の所在地を管轄する運輸支局長に「運行管理者選任届」を提出しなければなりません。 ・提出部数 3部 ・提出先 青森運輸支局 輸送監査部門 |
運行管理補助者について
一人の運行管理者が 24 時間勤務していることが現実的に不可能であるため、営業所内で一定の能力を有するものを「補助者」としてあらかじめ選任し、運行管理者の指導監督の下、営業所における運行管理業務を適切に実施する必要があります。
運行管理者補助者として選任できる者は、国土交通大臣から運行管理者資格者証の交付を受けている者又は運行管理者基礎講習を受講した者でなければなりません。なお、運行管理補助者に関しては、選任届を提出する必要はありませんが、運行管理組織図に選任した補助者の氏名を明記しておく必要があります。
また、補助者に運行管理業務の一部を実施させる場合においては、少なくとも運行管理者が点呼の3分の1を実施しなければなりません。
過労運転防止(改善基準の概要)
運行管理者は、常に乗務員の健康状態、作業状態を把握し、過労にならないようにするため、国土交通省が定める基準(平成13年国土交通省告示第1365号)を守るよう指示・教養等をしなければなりません。
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点呼の実施・記録
運行管理者は、「乗務前点呼」を実施して運転者本人に健康状態や酒気帯びの有無、日常点検結果等の報告を求め、それに対して安全を確保するために必要な指示をしなければなりません。また、乗務終了後には「乗務後点呼」を実施し、乗務した自動車、道路、運行の状況、酒気帯びの有無、ほかの運転者と交替した場合には、交替運転者との通告について報告を受けなければなりません。乗務前、乗務後の点呼は原則として対面で行います。
なお、運行上やむを得ない場合に限り、電話その他の方法(※)によって点呼を行うことが出来ます。「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で乗務が開始又は終了するために運転者が所属する営業所での対面点呼が実施できない場合を指します。早朝、深夜などで点呼執行者(運行管理者又は補助者)が出勤していない場合や、車庫と営業所が離れている場合などは「運行上やむを得ない場合」とはなりません。
※ 電話その他の方法とは、電話の他、携帯電話、MCA無線機などの直接対話が出来る方法を指します。メールやファックスなど直接の対話がなされない方法は認められません。
◆ 乗務前点呼における確認・指示事項 | |||
・運転者の健康状態 ・疲労の度合 ・酒気帯びの有無 ・異常な感情の高ぶり ・睡眠不足が無いか ・日常点検の実施結果→整備管理者による自動車の運行の可否決定 ・服装を端正に着用しているか ・運転免許証、非常信号用具、業務上必要な帳票類等、携行品の確認 ・休憩時間・場所、積載物、気象、道路状況等、運行の安全を確保するための注意事項の指示 ・個々の運転者について、運転行動に現れやすい問題点についての注意 | |||
◆ 乗務後点呼における確認・指示事項 | |||
・車両、積載物の異常の有無 ・乗務記録、運行記録計等の記録による運転状況等 ・工事箇所等道路状況 ・ヒヤリ・ハット経験の有無等 ・酒気帯びの有無 ・翌日の勤務確認 | |||
【点呼の実施例(1泊2日運行の場合)】 | |||
◆ 中間点呼 | |||
乗務前及び乗務後のいずれの点呼も対面で実施できない乗務を行う運転者に対し、運行管理者は、当該点呼のほかに、当該乗務の途中において少なくとも 1回電話等により、運転者と直接対話できる方法で酒気帯びの有無、疾病、疲労等の状況を確認するため点呼を実施しなければなりません。 | |||
【点呼の実施例(中間点呼及び運行指示書の必要な運行)】 | |||
◆ アルコール検知器の使用 | |||
乗務前点呼、乗務後点呼及び中間点呼における酒気帯びの有無は、目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて行わなければなりません。 | |||
◆ 点呼の記録 | |||
点呼を行った際の報告や指示内容は、運転者ごとに記録し、その記録を 1年間保存しなければなりません。 | |||
(1) | 乗務前点呼の記録の内容 | ||
① 点呼執行者名 ② 運転者名 ③ 運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号等 ④ 点呼日時 ⑤ 点呼方法 イ . アルコール検知器の使用の有無 ロ . 対面でない場合は具体的方法 ⑥ 酒気帯びの有無 ⑦ 運転者の疾病、疲労等の状況 ⑧ 日常点検の状況 ⑨ 指示事項 ⑩ その他必要な事項 | |||
運行管理者は、乗務前の点呼において、以下の点に注意して過労運転の防止を図らなければなりません。 ・酒気帯びの状態にある乗務員を車両に乗務させてはなりません。 ・疾病、疲労、その他の理由により安全な運転をすることができない、またはその補助をすることができないおそれがあると判断した乗務員を車両に乗務させてはなりません。 なお、「その他の理由」とは、覚せい剤や禁止薬物等の薬物の服用、異常な感情の高ぶり、睡眠不足等を指します。 | |||
(2) | 乗務後点呼の記録の内容 | ||
① 点呼執行者名 ② 運転者名 ③ 運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号等 ④ 点呼日時 ⑤ 点呼方法 イ . アルコール検知器の使用の有無 ロ . 対面でない場合は具体的方法 ⑥ 自動車、道路及び運行の状況 ⑦ 交替運転者に対する通告(※) ⑧ 酒気帯びの有無 ⑨ その他必要な事項 ※「交替する運転者に対する通告」とは、例えば、車両の乗り継ぎによって運転者が交替する場合、前任者が交替する運転者に対し、これまで運転していた車両や道路、運行の状況について知らせることをいいます。 | |||
(3) | 中間点呼の実施及び記録の内容 | ||
乗務前、乗務後のいずれも対面で点呼ができない場合は、乗務の途中に少なくとも一回電話やその他の運転者と直接対話できる方法で点呼を行い、酒気帯びの有無、健康状態について報告を求め、及び確認を行い安全を確保するために必要な指示をしなければなりません。 また、中間点呼を必要とする運行については、運行指示書を作成して運転者に携行させなければなりません。 中間点呼の実施内容は、次のとおりです。 ① 点呼執行者名 ② 運転者名 ③ 運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号等 ④ 点呼日時 ⑤ 点呼方法 イ . アルコール検知器の使用の有無 ロ . 具体的方法 ⑥ 酒気帯びの有無 ⑦ 運転者の疾病、疲労等の状況 ⑧ 指示事項 ⑨ その他必要な事項 |
乗務記録
事業者は、乗務を行った運転者ごとに、次に掲げる事項を記録させ1年間保存しなければなりません。これは運行管理者の業務として行います。 | ||
(1) | 運転者の氏名 | |
(2) | 運転者の乗務に係る事業用自動車の登録番号又はその他の当該事業用自動車を識別できる表示 | |
(3) | 乗務の開始及び終了の地点及び日時、並びに主な経過地点及び乗務距離 | |
(4) | 運転を交替した場合にあっては、その地点及び日時 | |
(5) | 休憩、仮眠をした場合にあっては、その地点及び日時(10分未満の休憩は省略可) | |
(6) | 車両総重量 8 トン以上または最大積載量 5 トン以上の事業用自動車にあっては、貨物の積載状況 | |
(7) | 車両総重量 8 トン以上または最大積載量 5 トン以上の事業用自動車にあっては、荷主都合により集荷又は配達を行った地点で待機した場合、次の事項 ・集荷地点等 ・集荷地点等への到着の日時を荷主から指定された場合にあっては当該日時 ・集荷地点等に到着した日時 ・集荷地点等における荷積み又は荷卸しの開始及び終了の日時 ・集荷地点等で、貨物の荷造り、仕分その他の貨物運送事業に付帯する業務を実施した場合にあっては、付帯業務の開始及び終了の日時 | |
(8) | 事故又は著しい運行の遅延その他異常な状態が発生した場合にあっては、その概要と原因 | |
(9) | 運行途中において新たに運行指示書による指示があった場合はその内容 | |
※ 運行記録計による記録 | ||
運行記録計の装着を義務付けられた車両の乗務記録は、運行記録計(道路運送車両の保安基準第 48 条の 2 第 2 項の規定に適合する運行記録計)で記録することができる。 この場合、運行記録計で記録された事項以外の記録すべき事項は、運転者ごとに運行記録計による記録(記録用紙)に付記しなくてはなりません。 |
運行記録計による記録と管理
◆ | 運行記録計の装着義務車両 | |
(1) | 車両総重量が 7 トン以上または最大積載量が 4 トン以上の普通自動車である事業用自動車 | |
(2) | 車両総重量が 7 トン以上または最大積載量が 4 トン以上の被けん引自動車をけん引するけん引自動車 | |
(3) | 特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車(運行車) | |
◆ | 運行管理者の業務 | |
(1) | 運行記録計の管理とその記録を保存すること。(運行記録紙等は、1年間保存しなければなりません。) | |
(2) | 運行記録計装着義務の車両で、運行記録計による記録ができない車両を運行させないこと。 | |
(3) | 運行記録計による正確な記録が得られるように、運行記録計の整備及び記録用紙の装置への着脱等の管理を行うこと。 | |
◆ | 記録用紙の主なチェックポイント | |
先ず、運行記録計に合致している運行記録紙がセットされているかを確認して、以下のチェックを行いましょう。 | ||
(1) | 速度記録のチェック | |
・最高速度を超過していないか。 ・等速運転をしているか。 ・急加速や急減速等がないか。 ・いつもと異なる走行をしていないか。 | ||
(2) | 運行時間のチェック | |
・運転時間は、2 日を平均し、1日当たり 9 時間を超えてはいないか。 ・4 時間を超える連続運転をしていないか。 ・運転者の休憩時間等の取り方は適切か。 ・運転者の交替時間は適切か。 | ||
(3) | 運行距離のチェック | |
・運行計画外の運行をしていないか。 | ||
◆ | 運行記録計の活用方法 | |
(1) | 運行記録計により運行状態の分析を行い、乗務員の指導に活用します。 | |
(2) | 運行記録計と乗務記録を確認しながら、速度、距離、時間、及び休憩等に無理がないかどうかを調べ、必要に応じて指導をします。 | |
(3) | 制限速度を超えた者、運行速度に著しくムラがある者については、注意指導をします。 | |
(4) | 運行記録計装着の義務付け車両で、高速道路走行における制限速度を超えた者については、速度抑制装置に問題が生じているおそれがあるので、運転者と車両のチェックを行います。 | |
(5) | 過労運転を防止するために、1日当たりの拘束時間の点検と休息期間が適切であるかチェックを行ないます。 | |
◆ | デジタル式運行記録計(デジタコ)について | |
デジタル式運行記録計は、アナログ式と異なり、各種運行データ等を数値化して電磁的方法(メモリーカード等)に記録する運行記録計です。データが数値化されることにより、解析等の作業が素早く、かつ正確に処理することができるので、労務管理等の適正な運行管理に役立ちます。 | ||
運行指示書
2泊3日以上の中間点呼が必要な運行の場合には、運転者に運行指示書を携行させなければなりません。この運行指示書は正副の2通を作成し、1つ(正)は運転者が、もう1つ(副)は営業所に置いておきます。 運行指示書は、長期間の運行をする中で、運行の経路や安全確保上必要な事項について、運転者へ確実に伝達するために必要なものです。 | |
◆ | 運行指示書の記載内容 |
運行指示書には、次の項目を必ず記載しなければなりません。 | |
(1) 運行の開始及び終了の地点及び日時 (2) 乗務員の氏名 (3) 運行の経路並びに主な経過地における発車及び到着の日時 (4) 運行に際して注意を要する箇所の位置 (5) 乗務員の休憩地点及び休憩時間(休憩がある場合に限る。) (6) 乗務員の運転または業務の交替の地点(運転または業務の交替がある場合に限る。) (7) その他運行の安全を確保するために必要な事項 | |
◆ | 運行の途中で行き先に変更があった場合(その1) |
帰り荷の都合などにより、運行指示書に記載した内容に変更が生じることは良くあると思います。このような運行の場合は、営業所に置いてある「運行指示書(副)」に変更内容を記載し、運転者には電話等により適切な指示とともに、運転者が携行している「運行指示書(正)」にもその変更内容を記載させなければなりません。 また、運転者に対して指示を行った日時及び運行管理者の氏名についても「運行指示書(正・副)」に記載しなければなりません。 | |
A 運行指示書(中間点呼)の必要な運行 | |
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B 出発時Aの運行予定が運行途中で変更となった場合 | |
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◆ | 運行の途中で行き先に変更があった場合(その2) |
当初は1泊2日で営業所に帰る予定であった運行が、行き先が変更となり2泊3日以上の運行となった場合、運行管理者は、「運行指示書(正・副)」を作成し運転者に対して電話その他の方法で適切な指示を行わなければなりません。 この場合、運転者は「運行指示書(正)」を携行していないので、乗務等の記録(運転日報等)に指示内容を記載しなければなりません。 また、運行管理者は運転者に指示した内容・日時及び運行管理者の氏名を「運行指示書(正・副)」に、そして運転者は乗務等の記録(運転日報等)に同様の記載をしなければなりません。 | |
C 運行指示書(中間点呼)の必要が無い運行 | |
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D 出発時Bの運行予定が運行途中で変更となった場合 | |
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◆ | 運行指示書の保存 |
運行が終了したら、運行指示書(正・副)は1年間保存しておく必要があります。なお、上記(その2)のような運行となった場合は、運転者が指示内容を記載した乗務等の記録(運転日報等)も一緒に保存しておきます。 |
乗務員に対する指導及び監督
◆ | 一般的な指導監督 | ||
自動車運送事業の運転者は、営業所を一度離れると運行中の安全の確保が運転者にほとんど全て委ねられていること、また、道路上を自家用車、歩行者等と混在して走行するため、運転者に特に高い安全意識と能力が求められます。さらに、多様な地理的、気象的状況の下で運転するとともに、大型の自動車を運転することから、道路の状況その他の運行の状況に関する判断及びその状況における運転について、高度な能力が要求されます。こうしたことから、事業者において輸送の安全性を向上させるために「安全教育」を積極的に実施する必要があります。 運行管理者は、乗務員に対して継続的かつ計画的に指導及び監督を行い、貨物自動車運送事業法その他の法令に基づき運転者が遵守すべき事項に関する知識や、運行の安全を確保するために必要な技能及び知識の習得を通して、ほかの乗務員の模範となるべき乗務員を育成しなければなりません。 乗務員に対する指導及び監督にあたっては、「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」(平成 13 年国土交通省告示第 1366 号)に基づき実施しなければなりません。 | |||
(1) 一般的な指導監督の内容 | |||
① トラックを運転する場合の心構え ② トラックの運行の安全を確保するために 遵守すべき基本的事項 ③ トラックの構造上の特性 ④ 貨物の正しい積載方法 ⑤ 過積載の危険性 ⑥ 危険物を運搬する場合に留意すべき事項 ⑦ 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況 ⑧ 危険の予測及び回避並びに緊急時における 対応方法 ⑨ 運転者の運転適性に応じた安全運転 ⑩ 交通事故に関わる運転者の生理的及び 心理的要因及びこれらへの対処方法 ⑪ 健康管理の重要性 ⑫「安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車 の適切な運転方法 | |||
(2) 実施時期 | |||
上記①~⑫の内容について一年ごとに計画を立てて全ての乗務員に毎年繰り返し実施します。 指導実施時に運行中などで参加できなかった乗務員に対しても、日を改めるなどして確実に全員に実施されるようにしましょう。 | |||
◆ | 事故惹起運転者に対する指導 | ||
死者または重傷者(自動車損害賠償保障法施行令第 5 条第 2 号または第 3 号に掲げ る傷害を受けた者をいう)を生じた交通事故を引き起こした運転者及び軽傷者(同条第 4 号に掲げる傷害を受けた者をいう)を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故 前の 3 年間に交通事故を引き起こしたことがある運転者に対しては、特別な指導を行わなければなりません。 | |||
(1) 事故惹起運転者に対する特別な指導の内容及び時間 |
内容 時間 ① トラックの運行の安全の確保に関する法令等 ①から⑤までについて合計 6 時間 以上実施すること ⑥については、可能な限り実施す ることが望ましい ② 交通事故の実例の分析に基づく再発防止対策 ③ 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因及びこれらへの対処方法 ④ 交通事故を防止するために留意すべき事項 ⑤ 危険の予測及び回避 ⑥ 安全運転の実技
(2) 実施時期 | |||||||||||||||||||||||
事故を起こしたあと、再度トラックに乗務する前に実施しなければなりません。ただし、やむを得ない事情がある場合は、再度乗務を開始した後 1ヵ月以内に実施してください。 | |||||||||||||||||||||||
◆ | 初任運転者に対する指導 | ||||||||||||||||||||||
初任運転者とは、初めて緑ナンバートラックを運転する運転者のことを指します。また、過去に緑ナンバートラックへの乗務経験があっても、3年以上のブランク期間がある場合も初任運転者となります。 初任運転者に対しては、次のような特別な指導メニューがあります。 | |||||||||||||||||||||||
(1) | 初任運転者に対する特別な指導の内容 | ||||||||||||||||||||||
① トラックを運転する場合の心構え ② トラックの運行の安全を確保するために 遵守すべき基本的事項 ※ 日常点検に関する事項は実車を用いて行う。 ③ トラックの構造上の特性 ※ トラックの車高、視野、死角、内輪差及び制動距離等に関する事項は実車を用いて行う。 ④ 貨物の正しい積載方法 ※ 貨物の積載方法及び固縛方法に関する事項は実車を用いて行う。 ⑤ 過積載の危険性 ⑥ 危険物を運搬する場合に留意すべき事項 ⑦ 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況 ⑧ 危険の予測及び回避並びに緊急時における 対応方法 ⑨ 運転者の運転適性に応じた安全運転 ⑩ 交通事故に関わる運転者の生理的及び 心理的要因及びこれらへの対処方法 ⑪ 健康管理の重要性 ⑫「安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車 の適切な運転方法 | |||||||||||||||||||||||
(2) | 安全運転実技の指導 | ||||||||||||||||||||||
実際に事業用自動車を運転させ、道路及び交通の状況に応じた安全な運転方法を添乗等により指導しなければなりません。 | |||||||||||||||||||||||
(3) | 実施時期及び実施時間 | ||||||||||||||||||||||
トラックに乗務する前に実施しなければなりません。ただし、 やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に実施します。 また、上記(1)については15時間以上、(2)については20時間以上実施します。 | |||||||||||||||||||||||
◆ | 高齢運転者に対する指導 | ||||||||||||||||||||||
65歳以上の運転者は、「高齢運転者」として、適性診断の結果を踏まえ、個々の運転者の加齢に伴う身体機能の変化の程度に応じたトラックの安全な運転方法等について運転者が自ら考えるよう指導します。 尚、指導の実施時期は、適性診断の結果が判明した後1ヵ月以内です。 | |||||||||||||||||||||||
◆ | 適性診断の種類と対象者 | ||||||||||||||||||||||
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◆ | 指導監督の記録 | ||||||||||||||||||||||
(1) | 一般的な指導監督 | ||||||||||||||||||||||
実施年月日、場所及び内容並びに指導監督を行った者及び受けた者を記録し、営業所に3年間保存してください。 | |||||||||||||||||||||||
(2) | 特別な指導(事故惹起運転者・初任運転者・高齢運転者) | ||||||||||||||||||||||
実施年月日及び指導の具体的内容を運転者台帳に記載するか、又は指導を実施した年月日を運転者台帳に記載したうえで指導の具体的内容を記録した書面(乗務員教育記録簿等)を運転者台帳に添付しておいてください。 また、適性診断の受診日時及びその結果を記録した書面を運転者台帳に添付しておきます。保存期間は3年間です。 | |||||||||||||||||||||||
◆ | 参考資料 | ||||||||||||||||||||||
運転者に対する指導・監督を進める際には、次の国土交通省が作成した実施マニュアルや、全日本トラック協会が作成したテキスト等をもとに実施しましょう。 自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル 《第1編 概要編》 自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル 《第2編 本編:一般的な指導及び監督指針の解説》 全日本トラック協会作成 事業用トラックドライバー研修テキストダウンロード(会員専用) 全日本トラック協会作成 事業用トラックドライバー研修テキスト購入申込 |